SRT SETUP GUIDE

SRTプロトコルとは?

本ガイドはローランド製AVミキサー、ビデオ・スイッチャーのSRT機能の設定、使用方法を記したものです。
該当製品のリファレンス・マニュアルと併せてご活用ください。

SRT(Secure Reliable Transport)は、Haivision社によって開発されたAVoIPのオープンソース規格です。
IPネットワーク上で安全に暗号化された映像と音声伝送を実現します。IP接続対応により、拠点間の映像音声伝送や、遠隔地とネットワーク接続によるリモートプロダクションなど、距離や場所、人員の制約を超え、より柔軟なシステム構築、運用をサポートします。

SRTは、LANまたはインターネット接続を介して、SRTプロトコル対応のローランド製品の制作環境を拡張します。これにより、離れた場所からカメラ映像にアクセスし、スイッチャーに入力されたHDMIおよびSDIソースと同じ入力ソースの一つとして扱うことができます。またSRT出力もサポートしているので、ネットワーク接続で拠点間や遠隔地に映像音声を送出できます。

Secure Reliable Transport

SRT機能対応製品

VR-120HD

VR-120HD
システム・プログラム
Ver.2.0以降

VR-6HD

VR-6HD
システム・プログラム
Ver.2.0以降

SR-20HD

SR-20HD
システム・プログラム
Ver.2.0以降

SRTを使ったシステム構築

SRTプロトコル対応のRoland製品のSRT入力、SRT出力ともに1系統ずつサポート。
入力/出力に映像・音声のバスを設定可能です。
Roland製品におけるSRTプロトコルのフォーマットは以下の通りです。

コンテナ:MPEG2 TS
映像:H.264
音声:AAC

SRTプロトコル対応機器間を接続する際に必要な設定は以下の通りです。
詳しい設定については、対応製品のサポートページに用意しているリファレンス・マニュアルを参照ください。

  1. Caller/Listener
  2. ポート番号
  3. IPアドレス
  4. レイテンシー
  5. 暗号化
  6. ビットレート

1 Caller/Listener

まず最初に接続する機器にCaller、またはListenerのどちらかを設定します。 Callerからの接続リクエストをListenerが受けることで接続が確立されます。
SRTプロトコル対応のローランド製品は、SRT入力とSRT出力それぞれにCallerまたはListenerを設定することができます。

Input
以下の入力設定が可能です。

Caller Listener Input 1
Caller Listener Input 2

Output
以下の出力設定が可能です。

Caller Listener Output 1
Caller Listener Output 2

SRTプロトコル対応のローランド製品はCallerを最大3つ接続でき、同じ映像の出力を3つまで分配することが可能です。


2 ポート番号

接続する機器で同じポート番号を設定します。
SRTプロトコルで指定のポート番号はなく、任意のポート番号を割り振ることができます。

Port number

3 IPアドレス

次にネットワーク設定を行います。
接続する機器のIPアドレス(ローカル/グローバル)を入力します。

IP address

4 レイテンシー

通信環境に応じた遅延(レイテンシー)設定を行います。
安定した接続、伝送のためにRTT(Round Trip Time)を設定します。
長距離の映像配信の場合、信頼性を優先するために高い数値設定が推奨されます。

Latency

5 暗号化

SRTプロトコルは暗号化により、安全な接続を実現しています。
AES-128、AES-192、AES-256、または暗号化なしの4つのオプションから選択できます。
暗号化の種類は接続機器間で同じにします。
また暗号化の設定をする際には、パスフレーズ(10~79文字)を作成します。

Encryption

6 ビットレート

SRTプロトコル対応のローランド製品は20Mbpsのビットレートの入力に対応しています。
ただし、「Capacity」設定値が「Standard」の場合、入力のビットレートを10Mbps以下に設定します。
出力の場合、最大20Mbpsのビットレートで設定します。

対応フォーマット:
Standard Mode (最大10 Mbps)
1080p29, 1080p30, 1080p25, 720p59, 720p60, 720p50, 720p29, 720p30, 720p25

High Mode (最大20 Mbps)
1080p59.94, 1080p60, 1080p50, 1080p29.98, 1080p30, 1080p25, 720p59.94, 720p60, 720p50, 720p29.97, 720p30, 720p25

Bitrate

活用例

SRTプロトコルを使ったシステム構成のメリットは、遠隔地などの距離の制約がないことや近距離内であってもケーブルなどの機材、コスト削減。そして各種サーバーなどとの安全かつ安定した接続で、柔軟な制作環境を構築できます。

Diagrams

Tips : PCでSRTストリームを確認する方法


VLC Media Player

  1. VLC Media Playerを起動し、メニュータブにある「メディア」から「ネットワークストリーム」を選択。
  2. 「ネットワーク」項目で接続先のIPアドレス、ポート番号、Caller / Listenerを入力します。(下記参照)

    VLC Media Player
  3. 入力後に「再生」を押すと、SRT接続先の映像が表示されます。

OBS

注意:SRTストリームをOBSで視聴する場合、VLC Media Playerがコンピューターにインストールされている必要があります。

  1. OBSを起動し、「ソース」にある「+」から「VLCビデオソース」を選択。
  2. 新規作成でOKをクリックします。
  3. 「+」を押して「Path/URLを追加」を選択。
  4. 接続先のIPアドレス、ポート番号、Caller / Listenerを入力します。(上記参照)
  5. 入力後に「OK」を押すと、SRT接続先の映像が表示されます。

SRT対応機器 動作確認情報

SRTプロトコル対応のローランド製品にて動作確認済みのSRT対応機器は以下の通りです。
下記リストに掲載されている製品とSRTで接続する際は、事前の接続検証をお勧めします。

Maker Panasonic Canon JVC
Model Name AW-UE40
AW-UE50
AW-UE80
AW-UE100
AW-UE150
AW-UE160
CR-N100
CR-N300
CR-N500
CR-N700
CR-X300
KY-PZ200
KY-PZ400
KY-PZ510

*コーデック:H.264 ターゲット・ビットレート最大20,000kbps(1080/59.94p)
*すべてのSRT対応機器との接続を保証するものではありません。