TBSスパークル、Roland V-80HDで実現した効率的なスポーツ配信システム

株式会社TBSスパークル

https://www.tbssparkle.co.jp/

株式会社TBSスパークルは、TBSグループの一員として、ドラマ・バラエティから報道・スポーツまで手掛ける日本最大級の映像制作会社である。同社の番組制作映像部では、テレビ放送からインターネット配信、イベント映像まで幅広く対応する技術部門として、ENGロケ・スタジオ・中継のカメラマンや照明・音声スタッフが在籍している。


TBSスパークルでは、増加するスポーツ配信案件に対応するため、Roland V-80HDを中心としたコンパクトな配信システムを構築し、地上波クオリティを保ちながら効率的な制作体制を実現している。


今回、同社クリエイティブテック本部 番組制作映像部の本間明人氏と角川秋嗣氏に、V-80HD導入の経緯と活用状況について話を伺った。

■導入のきっかけは年間173試合という大型案件

V-80HD導入のきっかけは2024年11月からスタートした大型スポーツ配信案件だった。

「最初は海外スポーツの配信で、既存のV-160HDを使ってオフチューブ配信をしていました。その後、バスケットボールのリーグ戦を月2回ペースで配信を実施しました。さらに年間173試合あるテニスの国際大会配信の依頼が重なって。これはV-160HD 1台では対応しきれないということで、V-80HDの検討が始まりました」(本間氏)

同時進行で2試合、2ブースの運用が必要になったことで、レンタル費用との比較検討を行った結果、2台購入に踏み切ったという。

■会議室を活用した効率的なスタジオ運営

現在の運用は、出張中継ではなくスタジオベースで実施している。

「会議室内に実況解説ブースを組んで、一部屋の中でスタジオ兼サブのような形で運営しています。2試合ある時は別の会議室に同じセットを組みます。」(本間氏)

V-80HDは海外からの中継映像にも柔軟に対応。25fpsなど異なるフレームレートにもオールマイティに対応できている点を評価している。

[ 隣り合った会議室で2セットを運用。ガラスの向こうにもう1台のシステムが見える。 ]

■V-80HD導入理由

価格面での優位性が決め手に

「V-160HDではなくV-80HDでシステムを組んだ理由は、内蔵でのVTR再生・収録機能があるのにV-160HDより安価だったこと。入力数は少し減りますが、オールマイティに使えてこの価格は魅力的でした」(本間氏)

[ V-80HDとコントロールPCがコンパクトにラックにセットされている ]

■様々なハプニングを乗り越え、想定以上のシステムが完成

技術面でも大きな進歩を実感している。

「V-160HDも色々な現場で使ってきていますが、V-80HDになって静止画の取り込みなど基礎的な処理速度が数段上がった印象です。また、機能をアサインできるボタンが4つから8つに増えたので使い勝手が向上しました」(角川氏)

V-80HDに搭載された8つのアサイナブル・パッドは、よく使う機能への素早いアクセスを可能にする。8つのバンクを切り替えることで最大64の機能を登録できるため、シーンメモリーやマクロの呼び出し、配信開始/停止などの操作が効率化される。

■Graphics Presenterが変えた制作フロー

内製化によるコスト効率向上

V-80HDと同時に活用しているソフトウェア「Graphics Presenter」が、制作フローを大きく変化させた。
「従来はテロップを出すためにテロッパーをレンタルしたり、スイッチャー内蔵のスチル画像では10枚程度しか使えませんでしたが、Graphics Presenterがあれば、地上波クオリティのテロップが無償で使える。これは革命的でした」(角川氏)

[ 会議室内に実況解説を含めた配信システムを構築している ]

制作部門が直接テロップを仕込める利便性

「今は制作部門にGraphics Presenterがインストールされたパソコンを渡して、テロップの仕込みを直接やってもらっています。位置や大きさの調整も制作側でできるので、技術と制作の分業体制が変わりました」(本間氏)

これまで外注していたテロップ制作の一部を内製化することで、大幅なコスト削減を実現。特にスポーツ配信で重要なスターティングメンバー表示なども、自社で制作できるようになった。

■他社システムからの置き換え進む

直感的な操作性が評価のポイント

「規模の大きなスポーツ中継では放送用ソフトウェアスイッチャーを使っていましたが、V-80HD、V-160HDでだいたいのことができるので、他社システムの出番が減っています」(角川氏)

[ 操作性の高い本体パネル ]

操作性についても高く評価している。

「本体パネルは断然ローランドが操作しやすく、何より事故が起きづらい設計。楽器メーカーの経験が活かされているのではないでしょうか。例えばクロスポイントスイッチに意図的に隙間があけてあるので、V-80HDで押し間違いをしたことがありません」(本間氏)

■技術スタッフ以外でも使える安全設計

業務効率化のため、不要な機能をロックして誰でも使えるよう設定している。

「技術職以外のスタッフでも使えるように、不要なキーは全てロック。Tバーもロックして、オートでしか動作しないように設定して事故率を減らしています。ボタンロックについても一つ一つカスタマイズできるのが便利ですね」(本間氏)

■コスト削減と品質向上の両立を実現

TBSスパークルでは、V-80HDとGraphics Presenterを組み合わせることで、年間173試合という大量のスポーツ配信に対応する効率的なシステムを構築できた。8つのアサイナブル・パッドによる操作性の向上、内蔵VTR機能、そして安定した動作性能により、従来の制作フローを見直し、コスト効率の良い運用を実現している。

特に無償で利用できるGraphics Presenterにより、テロップ制作の内製化が進み、制作部門と技術部門の作業分担も変化している。直感的な操作性と事故の起きにくい設計により、経験の浅いスタッフでも安全に操作できる点も評価されている。
スポーツ配信をはじめとする映像制作において、V-80HDは品質とコストパフォーマンスを両立したソリューションとして活用されている。

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