年間100本以上のライブ配信を支えるVR-120HD

株式会社スクウェア・エニックス 様

https://www.jp.square-enix.com/
 

『ファイナルファンタジー』シリーズや『ドラゴンクエスト』シリーズといった大ヒット・タイトルで知られる世界的ゲーム・メーカー、スクウェア・エニックス(東京・新宿)。同社はライブ配信をいち早くプロモーションに活用したゲーム・メーカーとして知られ、社内に開設したスタジオ=『SEP Studio』を拠点に、オリジナルの動画コンテンツを積極的に配信しています。株式会社スクウェア・エニックス マーケティング推進部の大澤宗弘氏によれば、現在年間100本以上のコンテンツを配信しているとのことです。

大澤氏:「弊社『SEP Studio』でのライブ配信は、2014年に本格的に開始しました。それ以前は各タイトルごとに配信を行っていたのですが、思いのほか好評であったことから社内にスタジオを開設して配信しようということになり、現在まで続いております。最近は日本向けの配信だけでなく、海外向けの配信も行っております。配信を本格的に開始する前は、ゲーム画面をお見せできる機会は雑誌の付録DVD等が多く、動画サイトでも長時間はアップできませんでしたので、配信を通じて開発者がゲーム画面を長時間見せることができるのは良いプロモーションの場になりました。フルHDのライブ配信がこの辺りから可能になり、各メーカーさんも取り組み始めたようです」

株式会社スクウェア・エニックスの大澤宗弘氏(写真右)、水野華蓮氏(写真左)

——公式YouTubeチャンネルの登録者は100万人を数え、人気ゲーム関連のコンテンツは数万人が視聴するという株式会社スクウェア・エニックスのライブ配信。マーケティング推進部の水野華蓮氏は、配信プラットフォームは特に限定しておらず、コンテンツに合わせて選んでいると言います

水野氏:「YouTubeはもちろん、ニコニコ生放送やXも利用していますし、最近ではTwitchを利用することも多いですね。海外のファンが多いゲームの場合はTwitchでいこうとか。昔はニコニコ生放送が一番コメントを拾いやすかったのですが、最近はYouTubeも変わらなくなってきています」

大澤氏:「コメントをたくさん拾うというのは、弊社のライブ配信の特色かもしれません。開発チームから“できるだけコメントを読みたい”というリクエストがあったので、『SEP Studio』ではコメント専用のモニターを複数台用意して、コメントを拾いやすい環境を構築しています。番組によっては、ファンからの質問に延々と答え続ける放送もあります(笑)」

社内に開設された配信スタジオ、『SEP Studio』

——そんなスクウェア・エニックスのライブ配信を支えているのが、ローランドのAVミキサーです。大澤氏いわく、ライブ配信を本格的に始めるタイミングでVR-50HDが発表になり(2013年)、すぐに導入を決めたと言います。

大澤氏:「当時、ネット・ニュースでVR-50HDのことを知って、“これはいい!”と小躍りしました(笑)。何より音と映像を1台で扱えるというのが最高でしたし、当時はまだ映像入力がコンポジットの機材が多かったのですが、VR-50HDはHDMI入力を備えているのが良かった。それですぐにレンタルして、これはバッチリだと思い導入した感じですね。
導入後は少し練習した後に、すぐに使えるようになりました。驚いたのが、映像の切り替えに音を同期できる『オーディオ・フォロー』で、“何て素晴らしい機能なんだ”と感動しましたよ。映像を切り替えれば音が勝手に追従してくれるんですから。基本的にワンオペで放送してほしいとの上司からの要望があったので、この機能には助けられました。
最初、2台のカメラを使ったシステムで始めたんですが、コロナ禍でカメラの台数がどんどん増えていって、VR-50HDの4系統の映像入力では足りなくなってしまったんですよ。そこでカメラ・スイッチャー用に、V-1HDやVR-4HDも導入しました。VR-4HDは凄く使い勝手の良い機材で、ゲームの切り替えにも活躍しています。宣伝チームや開発さんの傍に置いて、自分で映像を切り替えてもらっています」

——そして2023年2月、スクウェア・エニックスは長らく使用してきたVR-50HDをVR-120HDに更新。『SEP Studio』の配信システムをアップグレードしました。

大澤氏:「VR-120HDが発表になった瞬間に予約しました。入力の系統数が増えたのもそうですが、VR-50HDでは2つだったワイプ(PinP)が4つに増えたのがいいなと。しかもそういった画面の設定をシーン・メモリーとして保存して、瞬時に呼び出すことができるんですから。発表後、すぐに予約したのに順番待ちで、“ああ、これは皆が待ち望んでいた機材だったのだな”と思いました(笑)」

『SEP Studio』の機材レイアウト

——『SEP Studio』の現在の配信システムは、VR-120HDを中心に、スタジオ常設のカメラが5台(キヤノン XA40)、机上のグースネック・マイクが4本という構成。5台のカメラの出力はカメラ切り替え用のスイッチャー経由でVR-120HDにHDMIで入力され、その他にはスライド再生用のPC、BGM/効果音再生用のタブレット(Apple iPad)、映像再生用のスマートフォン(Apple iPhone)なども用意されています。そしてVR-120HDのSDI出力はUSBに変換されて配信用のPCに入力され、Wirecastを使って配信されるとのことです。

大澤氏:「ゲーム機は開発用のものだったりするので、配信の度に持ち込んでVR-120HDのHDMI入力に直接繋いでいます。5台のカメラの位置は番組によって変えていますが、出演者が手に持っているグッズを急に見せたりするので(笑)、そういう場合はリモコンでズームします。動画の再生用に古いiPhoneを使っているのは、16:10ではなく16:9で映像を出力できるのと、終了時にちゃんと黒画面になってくれるからですね。でも4Kの動画がくると再生能力的に厳しいので、ローランドさんにはぜひ新しいビデオ・サンプラーを出してもらいたいと思っています(笑)」

——VR-50HDからの更新後、連日フル活用されているというVR-120HD。水野氏は、合成できる映像が最大8レイヤーに増えたことで、これまで以上に“画づくり”ができるようになったと語ります。

水野氏:「VR-50HDは使いやすくて良かったのですが、映像に重ねられる要素が少ないところが物足りなくなってきていました。その点VR-120HDは、重ねられる要素が6つに増えて、テロップなどもアルファ・チャンネルで抜いて載せられるようになった。そして映像は作り込んだ状態でシーン・メモリーとして保存できるので、たとえば4種類のゲーム画面に違うテロップを載せて、それらを一発で切り替えられるのは凄く便利です。
それと何と言ってもiPad用のリモート・コントロール・アプリ、『VR-120HD Remote』の存在が大きいですね。AVミキサーって、1人で扱う分にはとても使いやすいのですが、2マンのときは少し使いにくかったりするんですよ。ディスプレイが1つしかないので、音声担当と映像担当で奪い合いになってしまう。しかしこのアプリがあれば、音声担当がiPadでエフェクトを調整しながら、映像担当はVR-120HD本体で映像のスイッチングができますから、凄く快適に作業ができています。EQやコンプレッサーのパラメーターをグラフィカルな画面で操作できるのも最高ですね」

実際の配信時は2マンでオペレーションすることが多いという

——また大澤氏と水野氏は、VR-120HDのオーディオ・ミキサーの進化にも驚いたと言います。

大澤氏:「映像の品質はこれまでと変わらない感じがしますが、音質は一聴して分かるくらい凄く良くなりましたね。同じマイクでこんなにも違うものかと最初に音を出したときはビックリしましたよ。機能面も進化していて、EQやコンプレッサーを細かく設定できるようになり、単体のデジタル・コンソールと比べても遜色なくなったというか。オンライン出演者の声を聴きやすくするためにはEQが必要ですし、ずっと黙っていた出演者が突然大声で笑ったりするので(笑)、コンプレッサーも不可欠なんですよ。環境音も多いのでゲートも必須ですし。オート・ミックス機能に関しては、まだ本格的に使用していないのですが、先日実験して十分に使えることが分かったので、これから活用していきたいと思っています」

水野氏:「オーディオ機能で一番嬉しいのは、各チャンネルに備わったミュート・ボタンです。5人くらい出演する番組で、VTRを再生するときにマイクをオフをミュートする場合、これまではフェーダーを5本下げなければならなかったので大変だったんですよ。ソロ機能も配信には載せずに音をチェックできるようになったので、リハーサルが十分できない番組などで重宝しています。それとAUXへの送りを、表のツマミで操作できるようになったのも便利。2系統あるので、1つはスタジオ用、もう1つはオンラインの出演者さんへの返し用に使っています」

——VR-120HDを導入して、これまで以上にハイ・クオリティなライブ配信が行えるようになったと語る大澤氏と水野氏。まだ試していない機能もたくさんあるとのことで、今後時間をかけて使い込んでいきたいと語ります。

大澤氏:「ローランドというと楽器メーカーというイメージが強かったので、VR-50HDを知ったときは“こんな映像機器も作っているんだ”と驚きました。いざ使ってみると、業務用の映像機器でありながら、楽器メーカーらしい使いやすさがあるんですよね。たとえば、SDIだけでなくHDMIも備えていたり、どんなフォーマットでも受けてくれるスケーラーが内蔵されていたり……。ゲームは様々な機材から出力されて必ずしもHDフォーマットではない場合もあるのですが、ローランドのAVミキサーはそういう映像もしっかり受けてくれるんです。今回導入したVR-120HDは、これまで物足りなかった部分がことごとく解消されていて、たくさん映像を重ねられるようになったのが本当に便利。対戦ゲームを配信する際も、プレーヤー2人の表情を画面の両上に表示できるようになりましたからね。ゲームをライブ配信するにはこれしかないと、他の会社の人にも勧めているところです(笑)」

スクウェア・エニックスのライブ配信を支えてきたローランドのビデオ・スイッチャー

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