大阪工業大学「OIT esports Digital Area」における最先端機材導入の取り組み 写真提供:大阪工業大学 近年、コンピューター・ゲームは単なる娯楽を超え、eスポーツとして教育や産業界においても注目を集める中、大阪工業大学は梅田キャンパス内に「OIT esports Digital Area」を2024年8月に開設。eスポーツに関連する機材を導入し、学生たちに新たな学びの場を提供している。 施設の構築を指揮されたロボティクス&デザイン工学部の井上明学部長にお話を伺った。 大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 井上 明 学部長 学生の活動と施設の活用 大阪工業大学では、「プロジェクト活動」と呼ばれる、学部や学科を横断する有志の学生たちが、“ものづくりプロセス”を実体験する自主的な取り組みが様々な分野で行われており、同学の大きな特徴となっている。そのひとつとして新たに梅田キャンパスを拠点として「OIT梅田esportsプロジェクト」の活動がスタートしている。現在は、2025年4月の本格始動に向けて「OIT esports Digital Area」を使ってのeスポーツの大会運営や、大学内外の友人とのeスポーツ配信企画を、学生たちが自主的に行うことを奨励している。 「何かができることを知ると、次のアイディアが生まれる。学生たちにはぜひいろいろなことにチャレンジしてほしい」と井上学部長は語る。 井上氏:この場所を作った一番大きな目的に、課外活動の充実ということがあります。学生たちにとって身近なeスポーツやゲームを通じて、VRやメタバースなどの体験の場になります。最先端の技術に触れ、それらを教えあいながら、仲間と力を合わせる場所にしてほしいと考えています。プロジェクト本格始動の準備期間ということもあり、まずは、ゲームをプレイする場所として利用しています。学生たちが、いま取り組んでいるのが、どういう大会に出場するか、どのタイトルに取り組むかみたいなところです。彼らが自主的に考え行動している状況ですね。 今後は、ゲームへの興味から様々なデジタルコンテンツがどのように制作されているのかという視点を持ってもらうことや、eスポーツに関わる中でVRやメタバース、プログラミング等の技術を習得したいという興味につながれば、と考えています。 施設は授業時間を除く午前9時から午後10時まで開放されている。在学生は予約をすれば自由に利用することができ、集中して打ち込むことが可能となっている。 井上氏:eスポーツやゲームという身近なフィールドに、学生たちが自発的に参加することで、彼らの好奇心を刺激し、他の教育コンテンツやデジタルを活用した社会課題解決にも応用できる。そんな可能性を、この場所を通じて感じてもらえたらと思います。 導入された機材とその特徴 「OIT esports Digital Area」には、ストリーミング・ビデオ・スイッチャー「V-160HD」、ビデオ・インスタント・リプレイヤー「P-20HD」が導入されている。 プロフェッショナル向けのビデオ・スイッチャー「V-160HD」は、HDMIやSDIなど多様な映像ソースに対応しているため、ゲーム画面とカメラ映像を組み合わせた番組のような映像を演出することが可能。 施設内の大型モニターへ「V-160HD」から出力された映像を映し出し会場の観客を盛り上げると同時に、ライブ配信の映像送出も可能。また、シーン・メモリー機能を活用して、初心者でもワンボタンで大会用の映像が演出できる工夫がされている。 井上氏:個人で購入するにはハードルが高い憧れの機材も、学校で自由に触れられる機材として用意したので、学生たちにはどんどん利用して、使い倒してもらいたい。そのためにも、信頼性が高くて、操作も覚えやすいローランド製品を導入することにしました。 ビデオ・インスタント・リプレイヤー「P-20HD」を使い、瞬時に見どころのリプレイ映像を再生する環境も備えられており、今後の学生主催のeスポーツイベントなどで活用されていくとのことだ。 プレイヤーの表情をとらえるカメラを備えた対戦用デスクには、ゲーミングミキサーのBRIDGE CASTも設置されている。プレイヤーのベストなモニター環境を整えるとともに、会場や配信用に利用する音声も分配出力している。 最先端のことをやるためには最先端の環境で 施設は8階に位置し、ガラスの向こうには、梅田の高層ビル群が広がる。 写真提供:大阪工業大学 井上氏:施設の場所を検討しているときに、最先端のことをやるためには最先端の環境で、それを分かりやすく伝えられる場所はどこかと考えました。音に関する問題やセキュリティ面を考えたら、これまでのように壁で囲われた教室を使った方が楽なんですよ。 でも、それは全然チャレンジングでもなく、今までのパソコン教室と何も変わらなくなってしまう。 外の景色が見られることで、現実と仮想空間を繋げる、その実現のためにはいくつもの課題を克服する必要がありました。大学内外の皆さんと一緒にその課題を超えて、この景観を持つ場所にeスポーツの施設ができたことで、これまでには無い何かが生まれることを期待しています。 電動ブラインドで適切に日光を遮ることができる。都会の借景を活かすために、ほかにも様々な気遣いがなされている。 今後の展望大阪工業大学では、eスポーツを通じて健康やウェルネス、ダイバーシティといった社会的意義を広げることを目指している。 井上学部長は、「VRやメタバースの導入を進め、デジタルツインの実現を視野に入れた取り組みも計画している」と述べる。 井上氏:OIT esports Digital Areaオープンに合わせて、本学とエヌビディア合同会社との連携協定を結びました。3次元仮想空間でのシミュレーション プラットフォーム「NVIDIA Omniverse」を活用した最先端デジタルツインの実験場「メタバースフィールド」開設の準備を進めています。ここにある全てのゲーミングPCが「NVIDIA Omniverse」に対応していますので、学生たちは自分たちで仮想空間を作成することができます。この取り組みは、他の大学では見られない先進的な試みです。 写真提供:大阪工業大学 取材協力・設計デザイン・施工担当:株式会社内田洋行 高等教育事業部 使用製品 V-160HD P-20HD BRIDGE CAST お問い合わせ 製品に関するお問い合わせは、こちらから。 お問い合わせ