CASE STUDY

AVミキサー
活用事例インタビュー

戸田市立戸田東小学校(埼玉県)

小梨 貴弘先生

戸田市立戸田東小学校・教諭

まずは戸田東小学校について教えてください

開校まもなく60年になる現在在校児童約1000名のマンモス校です。現在は校舎の改築中で、2021年4月に隣接する中学校と共に、「小中学校一体型校舎」になります。新校舎では各教室にはホワイトボードとプロジェクターの常設はじめ、多目的ホールには壁一面にスクリーンが設置され大画面でのプレゼンテーションが可能となるなど、最新鋭の教育設備を揃えた学校に生まれ変わります。中学校と合わせて2000人近い児童生徒数が学ぶ、県内有数の巨大校となる予定です。

2019年度からAVミキサーを活用されているわけですが、具体的にどのような内容になりますか?

いくつかありますが、まず直近の話としてはこの春から実施した休校期間中のオンライン授業での活用です。

[オンライン授業実現のために既存のICT機器のポテンシャルを引き出す]

学校の教務用パソコンは市のルールにより、動画をファイルとして外部に出力することはできないんです。ただ映像信号そのものはパソコンのHDMI端子を通じて出力することができるので、パワーポイントで作成した授業動画をHDMI端子経由でAVミキサー(VR-4HD)に出力し、他のタブレット端末等と映像を混ぜ合わせながら、VR-4HDのUSB出力から別のパソコンに映像を送り、録画して最終的なオンライン授業用の映像ファイルを作成していました。何といっても学習コンテンツを作る上で複数の映像を手軽にミックスできるのは非常に便利でした。

次に朝会(校内放送)での活用です。

[校舎改築工事中で難しかった全教室への映像配信をAVミキサーが解決!]

現在本校は改築工事中のため、体育館がありません。朝会や集会などはすべてテレビ放送を活用しています。テレビ放送は放送室の一斉送信設備から行っていましたので、今まではビデオカメラやパソコンを直接放送機器に接続していました。今は一旦VR-4HDでミキシングすることで、様々な機器からのより情報量の多い映像を送信することができるようになりました。例えば、パワーポイントでスライドを映したり、テロップを合成したり、グリーンバックで背景も簡単に変えることができます。放送室が放送局にグレードアップしたようなイメージです。

また、本校は児童数の激増により、5,6年生は隣接する中学校の教室を間借りして授業を行っているのですが、そちらには小学校の校舎と同時に放送を行う方法がありませんでした。ここでも、VR-4HDのUSB映像出力を利用して送信用パソコンに映像信号を送ることによって、ネットワーク(無線LAN)を介した中学校校舎内の5,6年生教室への同時配信も実現することができました。

さらに授業(学習発表)等での活用です

[探究的な学習活動の発表の場で、児童のプレゼンテーション能力を引き出す]

6年生の総合的な学習の時間では、PBL(Project Based Learning)の手法を取り入れた探究型学習活動を展開しています。児童はそれぞれが独自に設定した探究課題に基づいて調査活動や話し合い活動を行い、同学年の友達や下級生に向けて学習成果を発表する活動を行います。この発表においても、児童が制作したプレゼン資料や、ビデオカメラで撮影した映像をミキシングし、大型テレビ等に映し出すことにVR-4HDを使用しました。児童は想像以上に手早くAVミキサーの機能を把握し、操作方法を身に付けて自らのプレゼンテーションに活用していました。

そして音楽室での活用です

[様々なメディアを扱う音楽の授業こそ、AVミキサーの力が活かされる]

音楽の授業では、パソコンやタブレット、CDデッキやDVDデッキといった様々なメディア再生装置から、音源や映像を駆使して授業が展開されます。特に最近は映像を伴ったコンテンツを扱うことが音楽の授業でも増えてきており、それらをより効果的に児童に提示することが求められています。
本校の音楽室の前面には、100インチのスクリーンとプロジェクターが1式中央に、そして50インチの大型テレビが2台、その左右に常設されています。当初これらの映像出力機器は、パソコンやタブレット端末に個別に接続していましたが、その間にAVミキサー(V-02HD)を挟むことで、例えば、パソコンからの映像を中央の100インチスクリーンに、タブレット端末の映像を左右2台の50インチテレビに、また、状況によってはすべてのスクリーンに同じソースの映像を流す、というように、3つのスクリーンに表示させる映像を自由に選択できるようになりました。また、V-02HDにHDMI端子を通して入力するパソコンの出力解像度(16:9)とタブレット端末の出力解像度(4:3)は異なり、そのままでは画面の広さを十分に活かしきれていませんでしたが、V-02HDをiPadと接続して専用のアプリで操作し、画面の縦横の広さを変更して最大に表示できるようになったことで、座席からの視認性を大幅に向上させることができました。また、このアプリではチャンネルごとに出力音量のコントロールができるので、遠くにあるアンプではなく、ピアノ上に設置してあるiPadから各機器の音量を個別に調節できることも嬉しい点でした。
この他に、V-02HDには外部音声入力端子を通し、ハーモニー&リズム練習用キーボードの「JUSTY」が接続されています。このJUSTYを活用することで、純正律の響きやメトロノーム音・様々なリズム音の再生を、授業や部活動中に、他の機器と同様に音楽室のアンプから流すことが可能となりました。このJUSTYの便利なところは、V-02HD同様、専用のiPad用アプリがありワイヤレスで本体と同じ操作をiPadから行えるところです。本校の吹奏楽部は部員数が多く、合奏時には狭くてJUSTYを指揮台付近に設置することができないため、指揮台の上に設置したiPadからキーボード上と同じ操作を行えることがとても有り難いでんです。

かなり使いこなしておられますが、さらに今後活用してみたいことはありますか?

来年度本校は新校舎の完成によって戸田市の旗艦校としての性格をもって大きく生まれ変わるのですが、時代の最先端を行くであろう本校の教育活動に用いられる様々なICT機器がもつポテンシャルを最大限に引き出すために、そのまとめ役を果たすAVミキサーの役割はより大きくなると考えています。また、現在は校舎の分散等によって停滞している児童会活動も、今後活性化することが予想され、放送委員会を初めとする児童会活動等で、児童が主体となってAVミキサーを操作して学校の内外に情報を発信することも多くなると思います。その際重要となるのは、AVミキサーとしての性能を十分に担保しつつ、手軽なタブレット端末がパソコン室を飛び出したのと同じように、放送室を飛び出してどこでも扱えるようなものであることだが、コンパクトでポータブルなVR-4HDやV-02HDはその点においても、教室や特別教室、体育館など、学校のあらゆる場所に持ち運んで活用できる可能性を秘めています。

また、今回のコロナ禍によって、「どこにいても学べる」ことが、学校教育でも学習環境の条件に加えられることとなりました。今後、現在急ピッチで進められているGIGAスクール構想の実現により、この学校・家庭を結ぶ、言わば「ハイブリッド型」の学習環境の整備が一層進むと考えられますので、オンライン授業等、学校からの発信の最終出力機器としてのAVミキサーの活用方法も、今後は十分検討していきたいと考えています。